15年間、現役でハウスメーカーの営業をしているぽりんきです。
今回は、【土地探しチェックリストで思わぬ出費が出ないように】です。
「なんだか難しそう・・・。」
「知識を身につけても、間違えたら、怖いなぁ」
と感じる方もいるでしょう。
しかし、ポイントさえ抑えればチェックする部分は意外と簡単にわかるものです。
どんなに、土地の価格が安くても、立地や日当たりが良くても家を建てるときに余計にかかる思わぬ費用が発生してはいけません。
最終的には、プロの不動産屋さんやハウスメーカーに確認すべきですが、自分の目で見てチェックできるとさらに良いと思います。
この記事は、
- 誰かに頼らなくても、最低限の土地のチェックができるようになりたい
- 不動産業者に騙されて、あとでイヤな思いはしたくない
- 建物とのトータル費用で土地の購入も決めたい
というかたにオススメです。
これを知らずに家づくりを進めて失敗に気がつく人を多く見てきました。
そうならないように、学んでおきましょう。
土地によって余計にかかる建物費用・付帯工事費用
土地の状況によって余計なお金がかかる場合があります。
具体的に、
- どういうときに
- どういった内容で
- いくらくらい必要なのでしょうか。
土地を見に行くときにどんなところに注意すれば良いのかも含めてプロの目線を養っていきましょう。
土地にかかるライフラインを確認しよう
土地にたどり着いたらまず確認することは【ライフライン】ですね。
家を建てて生活をするためにはライフラインが整っていなければなりません。
しかし、全てが初めから揃っている土地ばかりではありません。
順番にチェックしましょう!
このライフラインがどういう状態なのかによって大きく費用をわける部分になります。
敷地内をくまなく確認するしか方法がありませんが、実は、隣の敷地を見たらわかる場合もあります。
公営水道か井戸か
まずは、上水道=飲料水を確認しましょう。
ほとんどの場合は、公営水道のはずですが、全国では一部の地域で井戸のところがあります。
井戸水専用のエコキュートもあり、給湯器も高くついたりするので注意しましょう。
敷地内にメーターボックスがあるか
敷地内か隣地にメーターボックスがあるかどうかを確認して下さい。
地面に埋まっている長方形の箱ですね。
これがあれば、公営水道で間違いありません。
そして、敷地内にあれば水道がそのまま使えます。
売り地の敷地内に見当たらない場合は、新たに、引き込み工事が必要になります。
費用は50万円〜100万円くらいで敷地に対して水道本管までの距離や本管の深さによって変わります。
生活排水は下水道か浄化槽(じょうかそう)か
汚水と雑排水の生活排水を処理する方法です。
下水道は市街地で普及していて、浄化槽は下水道がない地域での排水の処理の方法です。
下水道の場合は、道路に本管があって家から出た生活排水を流します。
反対に浄化槽は自分の敷地内に生活排水を浄化する装置を埋めてキレイな水にして排水します。
道路にマンホールがあるか
道路にマンホールがあれば、下水道確定です。
なければ、浄化槽になるでしょう。
下水道管は市町村がお金をかけて本管を入れるので財源が乏しい市町村、つまり、田舎にいけばいくほど浄化槽の地域が増えてきます。
浄化槽は自分の敷地内に埋めるものになるので、費用は40〜70万円程度かかります。
もちろんハウスメーカーによっての金額差もありますが、建てる建物の延べ床面積によって、必要な浄化槽の人槽が決まってきます。
5人槽・・・延べ床面積130m2未満(約39坪未満)
7人槽・・・延べ床面積130m2以上(約39坪以上)
10人槽・・・2世帯住宅(キッチンや風呂が複数ある場合)
さらに、汚物の定期的な汲み取りや1年に一度の点検が必要なため、年間で数万円は維持費用がかかります。
市町村によっては、浄化槽を設置する新築住宅は補助金が受け取れる場合もあります。
これは、浄化槽の工事をする前に事前に補助金申請を行い、完了報告をすることで振り込みで受けられます。
ハウスメーカー任せにしていると本来受けられる補助金がもらえなくなることもあるので、自分で市役所のホームページを覗いてチェックしましょう。
それでは、下水道のほうがいいのでしょうか。
もちろん、家の地中に装置を埋める必要もなければ、敷地内に下水道の引き込みがあれば、そのままそれを利用すればいいので、余計な費用がかかりません。
なにより、汲み取りなどの定期な出費や業者とのやりとりはありません。
しかし、下水を利用する場合は、水道料金と一緒に下水道料金の請求をされます。
2ヶ月に一度数千円かかるので、費用的には浄化槽の年間維持費用とそう大差はありません。
どちらがいいのか。と聞かれると難しいですが、浄化槽は設置費用と装置が壊れたときの実費で費用を考えると「できれば、下水道を利用するほうがいいと言う回答になります」
側溝(そっこう)があるかどうか
側溝はわかりますか?一般的には、「ドブやら、排水溝」と呼ばれることが多いようです。
この側溝は、
- 道路に降った雨水を処理する
- 敷地内から出た浄化槽排水や雨水排水を流す放流先
が役割となっています。
市町村によって行政ルールもありますが、一般的には敷地内で出た雨水排水などの放流先となっています。
ここでチェックすべきことは、【敷地側に側溝があるかないか?】です。
これが例えば、道路の反対側に側溝がある場合は、道路を掘削する横断費用が発生します。
この横断はアスファルト舗装の道路の場合は、掘削から復旧まで必要になるので、20〜50万円程度の費用がかかります。
敷地内側に側溝があるかないか?を必ずチェックするようにしましょう。
都市ガスかプロパンガスか
オール電化の住宅も増えてきたので、こちらは、ガスを検討する人のためのものです。
都市ガスは前面道路に本管があります。
プロパンガスは敷地内にボンベをセットします。
この2つの違いは何かと言えば、都市ガスの場合は、東京ガスなどの大手企業から供給を受けることによる安心感があります。
都市ガスの場合はガス配管費用が20〜40万円程度かかります。
対して、プロパンガスの場合は民間企業がたくさんおり、ガスボンベの供給を受けるところを自ら探す必要があります。
希望がなければハウスメーカーへお任せでもいいですが、そのハウスメーカーの指定工事店が割増料金などを設定してきてもわからないので注意しましょう。
プロパンガスの場合は、工事費を使用料に上乗せされて10〜15年契約で支払っていくことが多いです。
初期費用が都市ガスに比べると抑えられたり、プロパンガス会社の競争も激しいため、積極的な会社はキャンペーンでガスファンヒーターなどの有料オプションをプレゼントしてくれることがあります。
よく、「都市ガスはコストが安い、プロパンガスはコストが高い」と言われることがありますが間違いです。
理由は、アパートなど賃貸住宅の建築する際に、プロパンガス会社が大家(おおや)さんに給湯器などをサービスする代わりに、一般の顧客から利益を取り戻す構成になっています。
だから、プロパンガス=ランニングコストが高いというイメージになってしまっているんですね。
電柱があるか・位置は
次は、電柱です。
「電柱なんてどこにでもあるだろ」と言われてしまいますが。
街中であればよっぽどあるでしょう。
問題は、農地を購入、宅地に転用して、ほとんど周りに住宅が建っていないような場所で建築する場合です。
この場合は、電柱を建ててもらう必要が出てきますが、実費になる可能性もあるのです。
日常生活では、「あって当たり前の電柱」ですが、念のため確認しましょう。
電柱を新規で建てる場合はほとんどが電力会社の負担でやってもらえますが、一部の地域や自分のためだけに電線を伸ばす必要がある場合は実費費用が発生する場合があります。
また、電柱が近くあっても、敷地内に中継ポールを立てなければならない場合があります。特に旗竿地は他人の敷地の上空を通して、電気を引き込みようなルートになりがちです。
電線から他人の敷地の上空に電気の線を引き込むわけにはいきませんから、中継ポールを建てることになります。おおよそ20〜30万円程度費用がかかります。
次に確認するのは高低差です
この高低差が一般の人は余計な費用がかかることをイメージできずに捉えてしまう部分です。
土を入れたり、捨てたりする費用は思ったよりもお金がかかるので注意しましょう。
道路と敷地に高低差があるかどうか
まずは、これを確認しましょう。
ほとんどの土地が道路よりも数十センチ高くなっています。
特に段差もなく道路から入れる土地は問題ありません。この場合は余計な費用がかかりませんので、安心しましょう。
問題は、高低差がある土地です。
道路よりも低い敷地の場合
まずは、道路よりも低い場合です。
道路よりも敷地が低い場合は、「敷地内に車を入れられるのか?」を確認しましょう。
坂道になっていればいいですが、段差がひどく下がっている場合は、傾斜路を作ってあげる必要があります。
土はおもったよりも費用が発生します。
これを【盛り土(もりど)】と言いますが、ダンプカーを何台も使って土を搬入するので、人件費や運送費はバカになりません。
ここで注意したいのは、
「仮に、車が入っていける土地だったとしても、道路より土を高くしなくていいのか?」
です。道路よりも敷地が低いと道路に降った雨水が流れ込んできます。
最近は不安定な天気やゲリラ豪雨もあるため、ほとんどの住宅の敷地は道路よりも上げているのに対して、自分の敷地だけが低いと水害の影響を受ける可能性があります。
50坪の土地を50センチ高くするだけでも、50〜100万円近くかかります。
道路よりも高い敷地場合
先ほどとは反対の道路よりも高い場合です。
道路から高い場合は、まず「車が停められる状態か?」を確認しましょう。
これができない場合は、駐車場を確保するために土をごっそり捨てないといけません。
住宅は基本的には敷地が出来上がっている高さで建築すればいいため、駐車場と建物が建つ部分には、高低差が生まれます。
ここに必要なものが土留め(どどめ)と呼ばれる擁壁(ようへき)です。
土留めや擁壁とは、建物の重みで土がこぼれるのを防ぐために、高低差がある部分にブロックやコンクリートの塀を作ることです。
最近では、小学校の塀がCB積み(コンクリートブロックつみ)になっており、老朽化が原因で倒れる事件もあったため、最近では4〜5段程度、つまり80〜100センチくらいしか積まないようになっています。
これ以上の高低差がある場合はさらに上の強度のある壁にするため、相当な費用がかかります。
敷地の広さや土留めの長さによりますが、数百万円かかります。恐ろしい金額です。
ちなみに、この土留めや擁壁の金額が高いからと言って、コストダウンに走る人がいます。
CB積みでも作業上できなくはないですが、住宅の重みを何十年も受け止める擁壁になるため、あまり、ケチらないことを強く勧めます。
もし、それでも予算に合わない場合は、【地元で信頼できる造成業者、または、土木業者】を探しましょう。
大規模の分譲をやる不動産業者は付き合いがありますから、声をかけてみれば紹介してもらえるかもしれません。
隣地と高低差があるかどうか
これも、道路と同じ考え方です。
購入予定の敷地が道路と高低差があるからといって勝手に自分の敷地だけ土をすき取ってはいけません。
土地は確かに、所有権がわかれていますが、地面は寄り添って出来上がっています。
自分だけ土をすきとることによって、隣地の敷地が崩れてくることもあるからです。
やってもいいかどうかは、ハウスメーカーや不動産業者などのプロにみてもらうことを強くオススメします。
除去物がないか
そのまま建てられる土地かどうか?ということですね。
敷地によっては、何かが邪魔をしている場合があります。ひとつひとつ、確認していきましょう。
樹木
まずは樹木ですね。
樹木は上の部分だけを切り取るのであればチェーンソーを使えばいいです。
しかし、根が張っていてそれが建物の基礎工事に影響を及ぼす場合もあります。
敷地の余白を満たす簡易的な樹木であればいいですが、ある程度の年数がたった樹木だと根が張っているので、重機を使って産業廃棄物として処分する必要があります。
この費用も意外と高く、50坪程度の敷地に5本程度の樹木を処分するだけでも10万円以上はかかります。
ガードレールや縁石の切り下げ
次は、「敷地内にそのまま入れるのか?」という話です。
実は、ガードレールや縁石は、距離に応じて作らなければいけない長さが決まっています。
ガードレールや歩道の縁石などは車が歩道に突っ込むことを防ぐ目的が強いです。
つまり、自分の敷地の前にガードレールがあって撤去しようと思っていても、長さのルールによって、敷地の間口全てを取り除くことができない可能性があります。
どちらの場合も、撤去する場合は歩道に車が乗り入れすることになるので、【歩道の作りを車道と同じようにしなければならない】指導が入ります。
簡単に言えば、アスファルトの強度を上げる必要があるかもしれない。ということですね。これも間口によりますが、最低でも10万円はかかりますので、覚悟しておきましょう。
建築重機がたどり着けるか確認する
今度は建築するときの重機が現場に入れるかどうかです。入れない場合は限定されますが
- 道路が狭すぎる場合
- 道路と敷地に高低差がありすぎる場合
くらいでしょう。
とにかく、作業が容易にできない敷地の場合ですね。
住宅の建築は大型機械が入る時は限られています。
ユンボ・生コン車・レッカー車は入れるか
【基礎のコンクリートを打設するとき(1〜2回)】と【上棟のとき(1回)】です。この3回をクリアできるかどうかです。
道路が狭い場合は、小型車両になります。
当日の作業効率が落ちたり、所有している重機では対応できないため、建設機械をレンタルする必要があり、レンタル費用が発生する場合があります。
また、小運搬(こうんぱん)と言って、通常4トントラックで1回で済むものが2トントラックを2台使わないと材料を搬入しきれない場合は運送費が割増になります。
このあたりの費用も10〜20万円かかります。
高低差がある場合は、道路から重機を吊り上げて配備する必要が出てきたりするので、先に造成工事で敷地内に乗り入れできるようにしておきましょう。
駐車場があるか
さいごは、駐車場です。
これは、職人さんの駐車場の確保のことです。
狭小地(きょうしょうち)であれば、建築建物と足場とゴミ置き場や仮設トイレなどで敷地はほとんど埋まってしまうでしょう。
こうなると家を建ててくれる大工さんは近くに自分の車を停車する駐車場が必要です。
それも1台ではなく、常時3台以上は確保しなければ満足に家の工事は進んでいきません。
この「駐車場の費用はだれが払うのか?」はハウスメーカーによって違います。
施主であるお客様負担の場合もあれば、ハウスメーカー負担の場合もあります。
ハウスメーカー負担とは言っても、見積書の中の見えない部分かはじめから一律料金が上乗せされているだけなので、結局お客様が負担するのは変わりませんが、露骨にハウスメーカーから請求され、まれに怒っている人を見かけるので、今のうちにそういうものだと諦めましょう。
ハウスメーカー側からすれば、広い敷地に建築する場合は駐車場を借りなくていいですよね。
あくまでハウスメーカーは敷地を借りて家を建てさせていただくだけですから、職人さんの駐車場は施主であるお客様に確保しておいてほしいと言うのが本音のスタンスです。
信頼できる担当者を見つけておくことが大事
ここまで、セルフチェックポイントを書いてきましたが、最終的にはハウスメーカーに見積もりを出してもらわなければ検討ができないでしょう。
つまり、土地を探す前から、ハウスメーカーをたくさん回っておくことが非常に重要になってきます。
自分で土地を探して、気になった土地があれば信頼できる営業担当者に声をかけて調査してもらったほうが抜け漏れがないです。
住宅建築は費用だけではなく、やっかいな建築基準法や都市計画法など法律がたくさん関わってきます。
何も知らないよりは勉強したほうがいいですが、プロの知識には敵いません。
ハウスメーカーの営業であれば、勉強熱心な人はきちんと法律も勉強しているので、能力を見極める意味でも積極的に相談することをやってみるといいと思います。
なので、今回はあくまで、自己流で簡易的にチェックしておきたい場合の手段として、大きく費用がかかるところを記載しました。
何よりも、信頼できるハウスメーカーと担当者を見つけることが先決ですね。
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