旗竿地(はたざおち)ってごぞんじですか?
なかなか、聴き慣れない言葉だとは思いますが、このような敷地のことです。
このように、道路から奥まったところにあるのが【旗竿地(はたざおち)】
または、敷地延長の土地、略して【敷延(しきえん)の土地】と言います。
土地探しをしていればかならず一度は目にする敷地の形状です。
そして、金額を見ればめちゃくちゃ安いです。
「おっ、相場よりも安い土地あるなぁ。」と思ってみたら、旗竿地(はたざおち)だった・・・。
ということも多いでしょう。
価格以外にどんなメリットデメリットがあるのでしょうか?
今回は、この【旗竿地(はたざおち)】の特徴を解説していきます!
旗竿地(はたざおち)で後悔しない特徴4選
旗竿地(はたざおち)特有の特徴があります。
整理していきましょう。
旗竿地はとにかく、安い
形以外の一番の特徴はなんといっても【安い!】ことです。
安いの定義ですが、近隣の相場よりも広かったり坪単価が安いという意味です。
なぜ、そうなるのでしょうか?
基本的には、のちほど紹介する【デメリットがあるせい】で安くなっていることが理由です。
広さの割に価格が安くなっているので、坪単価の表記も当然安く見えます。
だからたいていは、「あれ?すごい安い土地あるな。どんな土地なんだろう。」
ネット検索をしていると自然と一度は開いてみてしまいますね。
旗竿地で後悔する駐車が不便
シンプルに駐車が不便です。
道路に接する間口は2メートル以上ということが建築基準法で決められています。
駐車することを考えて【2.5〜3メートル】くらいが路地状の間口として作られています。
スーパーなどの駐車場1台あたりの白線の間隔も、【2.5〜3メートル】で作られています。
つまり、駐車場に2台停める場合は、前の車が出ないと後ろは出られません。
駐車台数が複数の人にはあまり向いていない敷地になります。
ちなみに、接道間口(せつどうまぐち)が5メートルは無いと2台を横並びに駐車するのは困難です。
旗竿地では音が静か
これはメリットになるでしょう。
道から奥まっているということは、静かです。
リビングでくつろいでいるところを前の道から覗かれる心配も無いでしょう。
奥まっているというのはプライバシーが守られるというメリットにもつながります。
旗竿地は通風・採光が確保しにくい
周りが建物で囲まれる可能性が高いため、通風や日当たりが悪くなる可能性が高いです。
道に接している部分が広かったり、空地が広ければ広いほど通風、採光が確保できます。
旗竿地(はたざおち)でも、路地状部分の間口が限られている中で、建物が建つ部分は広々していることもあります。
有効敷地の面積がどれだけ広く取れるか?もしっかりと確認しましょう。
あまり知られていない旗竿地(はたざおち)の大きなデメリット
先ほどあげた特徴の多くは色々な記事を見ると載っていることかもしれません。
プロの目線から、旗竿地(はたざおち)の知られていないデメリットがあるのでご紹介していきます。
旗竿地は中継ポールが必要
中継ポールという言葉は聞いたことがありますか?
この写真は電柱ですが、敷地内に、電線を中継するポールためのものです。
『そんなのなんで必要なの?』と思うかたもいると思います。
実は、この中継ポールには2つの目的があります。
- 電線からの引き込み線をたるまないようにするため
- となりの敷地を電気の引き込み線がまたがないようにするため
まずは、ひとつめのたるまないようにするためです。
旗竿地(はたざおち)は、どうしても敷地の形状の関係で道路からの距離が必要になります。
建物までの距離が長ければ引き込み線はたるんでしまいます。
ピンと張ってしまうと強風がふいたときなどに引き込み線が揺れることで建物の外壁にもダメージがでます。
このたるみをなくすために、【中継ポール】が必要です。
次のとなりの敷地をまたがないようにするためについてです。
建物の建つ位置が【路地状の敷地の延長線上にあれば】いいのです。
そうでない場合は、電線から電気の引き込み線がとなりの敷地の上空を通過してしまう場合があります。
この場合は、いったん、敷地内で引き込み線を受けてから建物の外壁に向かって引き込みます。そのため、【中継ポール】が必要です。
旗竿地は屋外給排水工事が高くなる
水道メーターや敷地内の最終桝は道路から1メートル近くのところに引き込みされています。
つまり、道路から建物まで距離が長ければ長いほど屋外給排水の配管(建物周りの水道管と排水管)が長くなってしまいます。
10メートルにつきおおよそ20万円程度追加料金になります。
いくら旗竿地(はたざおち)で土地の価格が安くなっても、屋外給排水工事などの付帯工事が高くなってしまっては意味がありません。
旗竿地は基礎工事・上棟時に割増料金がかかる
新築工事中では、基礎工事の【コンクリート打設の生コン車やポンプ車】や上棟時の【レッカー車(クレーン車)】のように大型の機械が敷地内に搬入されます。
このときに、路地状部分の間口が狭いと、車両を小型にしたり、レッカー車(クレーン車)が入れない場合は、手おこしと言って大工さんなど人力で材料を担ぎ上げたりします。
人力の手おこし費用は手間がかかるだけなので、大工さんにお支払いする割増料金だけですみます。
小型車両にする場合は、その日1日の車両レンタル料がかかるので、業者によっては数十万円単位で追加料金が発生する場合があります。
旗竿地は税金も余計にかかる
思いがけない費用として、税金も考えておかなければなりません。
固定資産税が多くかかる
固定資産税は毎年支払わないといけないお金(維持費)です。
しかも、土地の場合は、建物と違って、年を重ねるにつれて安くなるわけではありません。
あくまで周辺相場との兼ね合いで決まってきますので、毎年同じような金額の税金がかかります。
この固定資産税ですが、そもそも【路線価】=道路に設定された平米(㎡)単価というものから算出された固定資産税評価額に対して一定の税率でかかります。
【路線価】✖︎【敷地面積】 =【固定資産税評価額】
という図式になっているため、敷地面積が広ければ広いほど【固定資産税】は高くなってしまいます。
不動産取得税が高くなる
固定資産税と加えて税金のお話です。
【不動産取得税とは】・・・1回ぽっきり不動産を取得した場合に支払う取得税です。
こちらも、固定資産税と同様に広ければ広いほど敷地面積が広くなり税金を支払う可能性が高くなります。
不動産取得税については、減税制度が優遇されており、敷地の広さによっては一切支払わなくても良い場合もあるので、そういう意味では旗竿地(はたざおち)の場合は不利になります。
旗竿地は人気がない。だからこそ値下げできる!
ここまで読むと、
「デメリットがありすぎて検討できないよ・・・。」となりそうです。
しかし、みんなが買わない土地は、交渉の余地が十分にあります。
不動産業界では、
【手前を売らずに奥から販売する】というのが鉄則です。
分譲地などであれば、いかに手前の整形地を売る前に、旗竿地(はたざおち)を売るかが勝負になってきます。
つまり、余っている旗竿地(はたざおち)はチャンスです。
売れ残っている場合は積極的に価格の交渉をしましょう。
旗竿地を候補に入れるかどうかのまとめ
土地を検討するのにあたって、相場よりも安くて広い旗竿地(はたざおち)を候補にいれるかどうかを考える必要があります。
デメリットが大きく感じたかもしれません。
しかし、世の中には、購入する方がいるのも事実です。
一生住む土地だからこそ、目先の金額に飛び付かずに将来的なことも考えて検討すべきです。
旗竿地(はたざおち)を購入するひとつの目安は、どれだけ価格交渉ができて、お買い得に買えたのか?
これが、旗竿地(はたざおち)を買う満足度のひとつになります。
ハウスメーカーと一緒に土地探しするもひとつの方法です。